2022/03/12
2019/12/07
にじさんじのこと
久々の投稿は、バーチャルYoutuberの話です。
興味のない人にはさっぱりだと思うので読まなくていいと思います。
いわゆるバーチャルYoutuber四天王という共通認識が誕生した頃から現在に至るまで、バーチャルYoutuber(以降Vtuber)という流行を遠目に追っていたのですが、これまでも散発してきたVtuber運営や演者(いわゆる魂)にまつわるトラブル・スキャンダルが最近目立つようになりました。独自の世界観でファンの囲い込みを目指していたアイドル部が不和の末に脱退者をだして現在進行系で炎上中であり、本日また、以前にもVtuber自らの告白で運営に反旗を翻したアズマリムが、活動の終了を告げる不穏なツイートをしています。
そもそも、今年はVtuberのシンボルともいうべきキズナアイが、演者を複数揃えるという、本来バーチャルYoutuberの利点(魂を入れ替えてもキャラクターは成立する)とされていた挑戦を試みたのにファンに受け入れられなかったという失敗をしており、先ごろマネージメントの方向転換を発表したばかりです。
これまでにブルー・オーシャンを目指して参入した大手企業は、VRへの巨額の投資に見合わない魂の制御の難しさを目の当たりにして軒並みVtuber事業からは遠ざかりました。代表的なのはドワンゴ(カドカワ)で、あっけにとられるほどコンテンツ皆無で作った「バーチャルさんはみている」でアニメ会社まで作ったのにさっさと畳むという大失敗をしています。去年までの展開はなんだったんだという、今年の冷淡さでした。
自社コンテンツの広告という単純な目的を持つ企業系・公共団体系Vtuber継続的な活動は見られますが、例外的な存在です。
また、ねこます(旧・バーチャルのじゃろり狐娘Youtuberおじさん)氏を筆頭とした、VR技術開発に興味を持つ個人系・技術系Vtuberは、いわゆる大量消費されるVtuber界隈からは距離をおき、メインストリームには位置していません。
ブームの初期はこれらのVtuberが渾然一体となって10年前の初音ミクブームのような面白さがあったのですが、一瞬でしぼんでしまった感があります。
こうした中、月ノ美兎を筆頭とし、カッコで括った「Vtuber」として名前が現在上位に挙がるものの、細かなトラブルはあるにせよある一定の地位を保っているグループが「にじさんじ(株式会社いちから)」です。彼らは独自にバーチャルライバーなる概念を提唱し、所属する各バーチャルライバーの特色はあるものの、基本的に長時間の生放送をメインコンテンツとして、毎月のように新人をデビューさせているという状況です。
その経営状態は外側から見えないものの、独自に大型イベントを開催するなど着実に成長しているように伺えます。
本来のYoutuber同様、配信そのもので金銭が得られることでその人気のパラメータとして大きく用いられる、Youtubeのチャンネル登録者数において、にじさんじのメンバーの占有率は瞠目すべきものがあります。(参考:バーチャルYoutuberランキング)。
果たして、にじさんじが他の同業他社に比較して無風に見える(内側の事情は窺えないので、あくまでそう見えるだけですが)、のはなぜなのか。
それは、ガワはVtuberという同じ存在に見えても、企業としての立ち位置がまったく違っているからだと思います。
端的に言えば、他の会社はVtuberというコンテンツでなんとか儲けようとしていたのに対して、にじさんじはおそらく最初から、にじさんじという「プラットフォーム」を作っていたからなのでしょう。
そもそも、にじさんじは簡易的にVtuberみたいになれるプラットフォーム「にじさんじアプリ」の広告として始まった経緯があり、最初のライバーメンバーはあくまで宣伝担当だったと聞いたことがあります。結果的ににじさんじアプリは一般に販売されることはなく、バーチャルライバーの活動がメインコンテンツになったのはメンバーそれぞれの持つ能力が理由だったのでしょうが、会社にしてみれば瓢箪から駒だったのでしょうね。
さて、今や公然の事実ですが、にじさんじのバーチャルライバーの大半が、昔ニコニコ動画などで生放送をしていたいわゆる生主・ゲーム実況者出身で、現在では最初から長時間放送に慣れている人々を選んでいるというのは間違いないでしょう。となれば当然ながら魂たち同士も面識があるでしょうし、それはにじさんじ内のキャラクターの関係性や、掛け合いの面白さにも影響を与えるでしょう。
そういう意味では、にじさんじは、バーチャルという手段を使った生主の互助会とも言えるのではないでしょうか。
これまで配信で人気があった人がわざわざ新たにVtuberというガワを使う利点としては、(これは僕が最初に指摘しているものではありませんが)以下のことが考えられます。
・若い女性など、容姿や性別で人気が出ていた生主は年齢の経過とともにその価値を減損するという、あまり考えたくはないものの避けがたい事実があるので、それを回避し、イメージを定着させるものとしてバーチャルのキャラクターを用いる。
・生主時代に視聴者との間に起こった関係性の悪化を(ネットを丹念に調べればたいがい追えるものとはいえ)一旦オブラートに包む、またはある程度リセットすることができる。
・にじさんじ事業が定着すれば、生主という経験・趣味を職業として(ある程度の期間は)期待できるものと考えられる。
上記については他のVtuberでも同様のことが当てはまるのですが、とにかく長時間の生放送を多数のライバーで繰り返し行うというにじさんじの一貫性は他の企業にはあまり見られないスタイルです。ファンとしては、いわゆる箱推し(にじさんじ全体を追いかけるファン行動)でなくても、ライバー同士の関係性を面白がるためにはある程度の時間を使って情報を確認する必要があります。これは、使える時間をにじさんじに専有させるという意味で、ライバル企業のVtuberに対する視聴時間を削り取る意味もあります。コンビニのドミナント戦略みたいなものです。
また、生主的な各個人のそれぞれの技術を元にしたコンテンツに重きをおくため、にじさんじはVtuberが当初注目された3D・VR技術には当初あまり投資せず、にじさんじアプリ(Live2Dという技術を使った2次元のキャラ)を今でもメインのペルソナとして使っています。その後シェアが増大していくに従って、ゆっくりと技術を導入しキャッチアップを図っているという風に見て取れます。現在でも、Youtubeチャンネル登録人数が一定数に達したライバーにしか3Dのビジュアルは与えられていません。
あくまで技術には重きをおかず、ファンの要望や批判にそこそこ答えるだけのレベルに敢えて押し留めているのでしょう。
それに仮にライバーがスキャンダルを暴露されたりや契約のトラブルを起こしたとしても、にじさんじは箱であってコンテンツそのものではないので、火消しさえ間違えなければ事業への影響は少ないでしょう。実際、生主時代の行動が早々と問題視されて、配信を一回だけやって首になった人が存在しましたが、その後それが後々まで燻っているようには感じられません。
ぶっちゃければ、一部の中核メンバーを除き、今のにじさんじは誰が所属しようが誰が引退しようが、(社員の感情は別にして)会社としては構わない状態になっているのだと思います。他の企業におけるVtuberの引退がしばしば悲劇的に取り扱われ、悪者探しになってしまうのに対して、にじさんじのこれまでの引退者は多くが祝祭的に、メモリアルに進行しているのが証左です。
過去に起こった事実として、あるライバーの引退から短期間での復帰の流れすら、批判ではなくネタにして吸収してしまう強靭さが、すでにこの箱にはあるのです。
これらは、バカ正直にコンテンツを作ろうとした他社を尻目にした、まさしくプラットフォーマーを目指すITスタートアップの企業行動です。
・Youtubeという既存プラットフォームを利用して金を稼ぐ(自分では基盤を作らない)
・1から育てるのではなく、ある程度のネット配信経験者をより多数集める(自分で基盤を作らない)
・技術への投資は最初は最小限、資金が集まったらピンポイントに投入(よその技術革新を待つ)
・リスクを分散して問題があれば企業に影響を及ぼす前に切り離す(コンテンツはライバー任せ、自社のコンテンツ作成は最小限)
…音楽配信や動画配信サービスは著作権のタダ乗りをネット技術の発展に任せてグレーゾーンを突き進み、合法にせざるをえないまで普及させてから権利団体と契約を結んで発展しました。
ドワンゴのニコニコ動画は、Youtubeの動画に勝手に文字を流すことからスタートしました。
現在日本でウーバーイーツは、正規に社員を増やすことなく、直接雇用しない「個人事業主」を利用して市場を独占しようとしています。
Lineしかり、Tiktokしかり、プラットフォーマーの始まりは、例外なく既存サービスへのタダ乗りからスタートします。
にじさんじもVtuberの1番手ではありませんでした。
なので、にじさんじは多分、小さな問題を発生させながらも今後も存在し続けるでしょうし。
これからは新規にキャラクターを起こすだけではなく、今はにじさんじネットワークと呼称されている、既存のVtuberをより積極的に参加させるサービスに力を入れていくと思います。
僕は、Vtuberを沢山擁する事務所的な企業は、最初に書いた問題などでこれからどんどん減っていくと考えていますが、にじさんじだけは拡大路線を続けるでしょう。そういう企業だからです。それがVtuberというジャンルにとっていいことなのかどうかは分かりませんが、自分が魂であることに不可分な一部Vtuberにとっては駆け込み寺になっていく可能性があります。
ただ、プラットフォーマーは力をつけてシェアを高めるに従って、往々にして労働者への無理難題やユーザーの利便性の低下を企図しはじめるので、そこは注意しておく必要があるでしょう。今でも所属ライバーとの賃金体系は示されていませんし、新人加入より少ないとはいえ複数の脱退者も出ているのですから、そこに全く搾取がないとは断言できないと思います。これだけライバーを増やしているということは、そこにはあまりコストが掛かっていないのでしょうから。
今後、それこそYoutubeやインスタグラムみたいに市場を専有してから、どこかのコンテンツ企業(それこそカドカワとか)に会社を売り払ったら、ITスタートアップとしては完璧なアガリだと思いますが、日本の企業ですので経営者もそれほどドライではないかもしれません。
…でも最近でもzozoタウンみたいなこともありましたからねー。


興味のない人にはさっぱりだと思うので読まなくていいと思います。
いわゆるバーチャルYoutuber四天王という共通認識が誕生した頃から現在に至るまで、バーチャルYoutuber(以降Vtuber)という流行を遠目に追っていたのですが、これまでも散発してきたVtuber運営や演者(いわゆる魂)にまつわるトラブル・スキャンダルが最近目立つようになりました。独自の世界観でファンの囲い込みを目指していたアイドル部が不和の末に脱退者をだして現在進行系で炎上中であり、本日また、以前にもVtuber自らの告白で運営に反旗を翻したアズマリムが、活動の終了を告げる不穏なツイートをしています。
そもそも、今年はVtuberのシンボルともいうべきキズナアイが、演者を複数揃えるという、本来バーチャルYoutuberの利点(魂を入れ替えてもキャラクターは成立する)とされていた挑戦を試みたのにファンに受け入れられなかったという失敗をしており、先ごろマネージメントの方向転換を発表したばかりです。
これまでにブルー・オーシャンを目指して参入した大手企業は、VRへの巨額の投資に見合わない魂の制御の難しさを目の当たりにして軒並みVtuber事業からは遠ざかりました。代表的なのはドワンゴ(カドカワ)で、あっけにとられるほどコンテンツ皆無で作った「バーチャルさんはみている」でアニメ会社まで作ったのにさっさと畳むという大失敗をしています。去年までの展開はなんだったんだという、今年の冷淡さでした。
自社コンテンツの広告という単純な目的を持つ企業系・公共団体系Vtuber継続的な活動は見られますが、例外的な存在です。
また、ねこます(旧・バーチャルのじゃろり狐娘Youtuberおじさん)氏を筆頭とした、VR技術開発に興味を持つ個人系・技術系Vtuberは、いわゆる大量消費されるVtuber界隈からは距離をおき、メインストリームには位置していません。
ブームの初期はこれらのVtuberが渾然一体となって10年前の初音ミクブームのような面白さがあったのですが、一瞬でしぼんでしまった感があります。
こうした中、月ノ美兎を筆頭とし、カッコで括った「Vtuber」として名前が現在上位に挙がるものの、細かなトラブルはあるにせよある一定の地位を保っているグループが「にじさんじ(株式会社いちから)」です。彼らは独自にバーチャルライバーなる概念を提唱し、所属する各バーチャルライバーの特色はあるものの、基本的に長時間の生放送をメインコンテンツとして、毎月のように新人をデビューさせているという状況です。
その経営状態は外側から見えないものの、独自に大型イベントを開催するなど着実に成長しているように伺えます。
本来のYoutuber同様、配信そのもので金銭が得られることでその人気のパラメータとして大きく用いられる、Youtubeのチャンネル登録者数において、にじさんじのメンバーの占有率は瞠目すべきものがあります。(参考:バーチャルYoutuberランキング)。
果たして、にじさんじが他の同業他社に比較して無風に見える(内側の事情は窺えないので、あくまでそう見えるだけですが)、のはなぜなのか。
それは、ガワはVtuberという同じ存在に見えても、企業としての立ち位置がまったく違っているからだと思います。
端的に言えば、他の会社はVtuberというコンテンツでなんとか儲けようとしていたのに対して、にじさんじはおそらく最初から、にじさんじという「プラットフォーム」を作っていたからなのでしょう。
そもそも、にじさんじは簡易的にVtuberみたいになれるプラットフォーム「にじさんじアプリ」の広告として始まった経緯があり、最初のライバーメンバーはあくまで宣伝担当だったと聞いたことがあります。結果的ににじさんじアプリは一般に販売されることはなく、バーチャルライバーの活動がメインコンテンツになったのはメンバーそれぞれの持つ能力が理由だったのでしょうが、会社にしてみれば瓢箪から駒だったのでしょうね。
さて、今や公然の事実ですが、にじさんじのバーチャルライバーの大半が、昔ニコニコ動画などで生放送をしていたいわゆる生主・ゲーム実況者出身で、現在では最初から長時間放送に慣れている人々を選んでいるというのは間違いないでしょう。となれば当然ながら魂たち同士も面識があるでしょうし、それはにじさんじ内のキャラクターの関係性や、掛け合いの面白さにも影響を与えるでしょう。
そういう意味では、にじさんじは、バーチャルという手段を使った生主の互助会とも言えるのではないでしょうか。
これまで配信で人気があった人がわざわざ新たにVtuberというガワを使う利点としては、(これは僕が最初に指摘しているものではありませんが)以下のことが考えられます。
・若い女性など、容姿や性別で人気が出ていた生主は年齢の経過とともにその価値を減損するという、あまり考えたくはないものの避けがたい事実があるので、それを回避し、イメージを定着させるものとしてバーチャルのキャラクターを用いる。
・生主時代に視聴者との間に起こった関係性の悪化を(ネットを丹念に調べればたいがい追えるものとはいえ)一旦オブラートに包む、またはある程度リセットすることができる。
・にじさんじ事業が定着すれば、生主という経験・趣味を職業として(ある程度の期間は)期待できるものと考えられる。
上記については他のVtuberでも同様のことが当てはまるのですが、とにかく長時間の生放送を多数のライバーで繰り返し行うというにじさんじの一貫性は他の企業にはあまり見られないスタイルです。ファンとしては、いわゆる箱推し(にじさんじ全体を追いかけるファン行動)でなくても、ライバー同士の関係性を面白がるためにはある程度の時間を使って情報を確認する必要があります。これは、使える時間をにじさんじに専有させるという意味で、ライバル企業のVtuberに対する視聴時間を削り取る意味もあります。コンビニのドミナント戦略みたいなものです。
また、生主的な各個人のそれぞれの技術を元にしたコンテンツに重きをおくため、にじさんじはVtuberが当初注目された3D・VR技術には当初あまり投資せず、にじさんじアプリ(Live2Dという技術を使った2次元のキャラ)を今でもメインのペルソナとして使っています。その後シェアが増大していくに従って、ゆっくりと技術を導入しキャッチアップを図っているという風に見て取れます。現在でも、Youtubeチャンネル登録人数が一定数に達したライバーにしか3Dのビジュアルは与えられていません。
あくまで技術には重きをおかず、ファンの要望や批判にそこそこ答えるだけのレベルに敢えて押し留めているのでしょう。
それに仮にライバーがスキャンダルを暴露されたりや契約のトラブルを起こしたとしても、にじさんじは箱であってコンテンツそのものではないので、火消しさえ間違えなければ事業への影響は少ないでしょう。実際、生主時代の行動が早々と問題視されて、配信を一回だけやって首になった人が存在しましたが、その後それが後々まで燻っているようには感じられません。
ぶっちゃければ、一部の中核メンバーを除き、今のにじさんじは誰が所属しようが誰が引退しようが、(社員の感情は別にして)会社としては構わない状態になっているのだと思います。他の企業におけるVtuberの引退がしばしば悲劇的に取り扱われ、悪者探しになってしまうのに対して、にじさんじのこれまでの引退者は多くが祝祭的に、メモリアルに進行しているのが証左です。
過去に起こった事実として、あるライバーの引退から短期間での復帰の流れすら、批判ではなくネタにして吸収してしまう強靭さが、すでにこの箱にはあるのです。
これらは、バカ正直にコンテンツを作ろうとした他社を尻目にした、まさしくプラットフォーマーを目指すITスタートアップの企業行動です。
・Youtubeという既存プラットフォームを利用して金を稼ぐ(自分では基盤を作らない)
・1から育てるのではなく、ある程度のネット配信経験者をより多数集める(自分で基盤を作らない)
・技術への投資は最初は最小限、資金が集まったらピンポイントに投入(よその技術革新を待つ)
・リスクを分散して問題があれば企業に影響を及ぼす前に切り離す(コンテンツはライバー任せ、自社のコンテンツ作成は最小限)
…音楽配信や動画配信サービスは著作権のタダ乗りをネット技術の発展に任せてグレーゾーンを突き進み、合法にせざるをえないまで普及させてから権利団体と契約を結んで発展しました。
ドワンゴのニコニコ動画は、Youtubeの動画に勝手に文字を流すことからスタートしました。
現在日本でウーバーイーツは、正規に社員を増やすことなく、直接雇用しない「個人事業主」を利用して市場を独占しようとしています。
Lineしかり、Tiktokしかり、プラットフォーマーの始まりは、例外なく既存サービスへのタダ乗りからスタートします。
にじさんじもVtuberの1番手ではありませんでした。
なので、にじさんじは多分、小さな問題を発生させながらも今後も存在し続けるでしょうし。
これからは新規にキャラクターを起こすだけではなく、今はにじさんじネットワークと呼称されている、既存のVtuberをより積極的に参加させるサービスに力を入れていくと思います。
僕は、Vtuberを沢山擁する事務所的な企業は、最初に書いた問題などでこれからどんどん減っていくと考えていますが、にじさんじだけは拡大路線を続けるでしょう。そういう企業だからです。それがVtuberというジャンルにとっていいことなのかどうかは分かりませんが、自分が魂であることに不可分な一部Vtuberにとっては駆け込み寺になっていく可能性があります。
ただ、プラットフォーマーは力をつけてシェアを高めるに従って、往々にして労働者への無理難題やユーザーの利便性の低下を企図しはじめるので、そこは注意しておく必要があるでしょう。今でも所属ライバーとの賃金体系は示されていませんし、新人加入より少ないとはいえ複数の脱退者も出ているのですから、そこに全く搾取がないとは断言できないと思います。これだけライバーを増やしているということは、そこにはあまりコストが掛かっていないのでしょうから。
今後、それこそYoutubeやインスタグラムみたいに市場を専有してから、どこかのコンテンツ企業(それこそカドカワとか)に会社を売り払ったら、ITスタートアップとしては完璧なアガリだと思いますが、日本の企業ですので経営者もそれほどドライではないかもしれません。
…でも最近でもzozoタウンみたいなこともありましたからねー。
teamlink_oka at 22:09|Permalink│Comments(0)
2015/12/15
TALI「ソルティロード」
僕が若いころには既にメディアミックスという商法が定着していて、核となる商品のノベライズやらコミカライズやら、周辺グッズも合わせて有象無象がこれでもかと販売される展開にうんざりしていたものですが。
今となってはその周辺状況も柔軟に楽しむのが作法だなと思い、なんとなく触れた派生作品も、その作品が単独で面白い限りバッチコイという感じで楽しむようにしています。勿論時間もお金も有限ですので1つのコンテンツのすべてを享受できるわけではないのですが、まぁそういう心意気でありたいということです。おっさんになればなるほど情報アクセスにも摩擦係数を感じるようになりますしね…。
今回の本も別に買うつもりではなかったのですが、本編であるところの「蒼き鋼のアルペジオ」と並んで売ってたので買ってみたら、意外と自分の好みだったので今のところ続けて買っちゃっています。「アルペジオ」本編は艦これSF版ではありませんが、要は人格を持った第二次大戦風の艦船の姿をした少女を戦わせたりツンデレさせたりする海洋冒険SFなわけですけども。「ソルティロード」はそこから冒険とか戦艦とか戦闘とかSFとかを取っ払ったもはやよくわからないナンセンスギャグになってるのです。
本編のハードかつ甘い雰囲気を大切にしたい人は憤るのかもしれませんが、あくまでお気楽な上滑りが存在できるのも本編由来のキャラ付けがあるからだと思いますし、これはこれでありなのかも。タカオたちのキャラも、僕自身は本編との齟齬をあまり感じないで読むことが出来ました。一部クサい青春モノの香りもあって好物なのです。恥ずかしい展開でも照れなく見栄を切る作者さんの資質なのでしょう。
自分の好きな(オリジナル)キャラはメンタルモデル並に摩訶不思議なキャラクターであるところの、タコのパウルくんですねー。格ゲーが強かったり陸上で普通に生活したりする謎の存在です。
付言しておくと原作漫画「蒼き鋼のアルペジオ」も当然ながらめちゃくちゃ面白いですのでこちらもSFなどに興味があればお薦め。アニメ版「アルス・ノヴァ」は原作よりオーソドックスなテーマのSFとなっております(劇場版は未見)。
海洋冒険SFといえばいろいろありますが、僕が好きなのはアニメ版の「青の6号」です。世界初のフルデジタルアニメという触れ込みでしたが、「アルペジオ」もフル3DCGアニメとして世に出た訳で、比べてみて潜水艦物におけるCG技術の進歩を比較してみるのも面白いかもしれませんよ。